俺はお前だけの王子さま
「あんなに小さかった春馬も、知らない間に立派に男になっていたんだなぁ」


親父はウンウンと頷いている。


「…ほっとけよ」


つ―かコレ、半分下ネタじゃねーの?

いい歳してやめろっての。


だけど親父が俺をからかう時はいつも親父なりにかなり嬉しい時だったりする。


そういう意味では良いのか?


「正式な婚姻の前なのに…順序が逆になりすみません。」


そんな親父に真面目に頭を下げる渡瀬。


「ん?いやいや、おめでたいことだから謝る必要はないんだよ。」


親父は笑顔で訂正する。


「むしろありがとうと言いたいくらいだよ。」


「そうそう。いちいち気にすんな」


渡瀬はいちいち真面目すぎんだよ。


そんな俺の言葉に渡瀬は少し困った顔をした。


「そんなこと言ったって気にするわよねぇ?」


母親が渡瀬をフォローするように笑った。


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