俺はお前だけの王子さま
「またうちに来てくださいね!」


ぺこりと頭を下げて
背を向ける渡瀬弟。


周りの奴らと
ぞろぞろと歩き出す


「………」


気が付くと
俺の足が動いていた。


「…おい」


渡瀬弟の腕を掴む俺。


傘からはみ出た俺の腕が
ポタポタと濡れていく


「姉ちゃんは元気か…?」


それだけ言った。


腕を捕まれた渡瀬弟と
周りの小学生は


少し驚いた表情で俺を見上げた。



「え…?姉貴?」


渡瀬弟は驚きながらも
少し考える素振りをみせた。


「別に普通っぽいですけど…あぁ…そういえばたまに、元気なさげかな?」


首を傾げる渡瀬弟に俺は俯いた



「…そうか」


やっぱり…


俺は弟の腕を離した。


黙る俺を見上げて
渡瀬弟はニッコリ笑った。


「姉貴からよく王子君の話とか聞きますよ」



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