俺はお前だけの王子さま
「…は?」


なんで?


俺が渡瀬弟を見ると


渡瀬弟はまっすぐな目で俺を見ていた。


「姉貴をいつもありがとうございます。」


頭を下げる弟。


「…………」



ボツ ボツ ボツ


雨が強くなり
傘に雨が当たる音が大きくなる。


「お前の母親って…」


俺の声が雨音でかき消される


聞き取れなかったのか
渡瀬弟は、なに?と顔を傾げる。



はぁ

めんどくせぇ…

もう良いじゃん

てか、なんで俺がー…



頭でそう思いながら


俺は聞くのを止められなかった




聞かなきゃ…

きっと一生後悔する。




「お前の母親ってどこで働いてんの?」




< 91 / 558 >

この作品をシェア

pagetop