俺はお前だけの王子さま
「…どーも」


タオルを受けとると
渡瀬母はにっこり微笑んだ。


対面のソファーに座り
俺をまじまじと見る渡瀬母。


「まさか…愛子の彼氏とか?」


「……いえ」


俯く俺に
渡瀬母は口に手を当てた。


「ごめんなさい。そりゃそうよね、こんなカッコいい子があの子の彼氏なんて…」


うふふと笑う渡瀬母。



「それじゃあ何の要件かしら?」


「…………」



俺は少し考えてから



渡瀬が修学旅行に行かない由を伝えた。




渡瀬母は少し驚いた目で

だけど最後まで静かに
俺の話を聞いていた。



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