Fahrenheit -華氏-
ど……どうりで、やたら柏木さんに懐いていたはずだ…
日本と違って向こうはそういうのが普通みたいだから、多いんだよな。きっと。
てかっ、それだったら何で俺にキスをねだったんだよ!
「か、柏木さん!あれは不可抗力で!って言うか未遂だったし!」
「言い訳は結構です。本社の恥さらしにならないよう今後から気をつけてください」
チーン…
か…柏木さん…そりゃあまりにもきっついお言葉で…
って言うか今まで俺、会社の子に手を出してこなかったのよ?
てそんなこと知らないし、当たりまえのことだよね。
柏木さんに叱られてしょぼんとうなだれていると、柏木さんの背後でジェニーが
あかんべをしていた。
む!ムカツクーーー!!
――――
――
約束の期限の一週間が終わり、お騒がせ娘ジェニーは母国へ帰っていった。
結局柏木さんの過去や秘密を知ることはできず、俺は相変わらずキスしたい、ともんもんと考えながら日々は過ぎていった。
そんなある日のこと。
柏木さんはシャンパン色のノースリーブカットソーと、黒いタイトスカート姿で出勤してきた。
綺麗に浮き上がった鎖骨のちょっと下で控えめなゴールドのネックレスが揺れていた。
白くて細い腕が
ま、眩しい―――!!
って、あれ……?
腕のタトゥーは??