Fahrenheit -華氏-
その場所から歩いて10分の場所に小さな白い教会があった。
来るときにちらりと見えたのだ。
木々に隠れれるようにひっそりと建っていたが、中からオレンジ色の暖かい灯りが洩れているところから開いているようだ。
まるで絵本に出てきそうな小さな可愛らしい教会。
この辺はとにかく教会が多い。
名のある有名な教会から、それこそ地図に載っていないような小さな教会まで。
俺は瑠華の手を引っ張って、その教会に向かった。
「ここに来たかったんですか?」
「うん」
「開いてるんですか?」
「さぁ。でも灯り付いてるよ?」
「勝手に入っていいんですか?」
と、どこまでも常識的な瑠華ちゃん。
「ちょっと覗くだけ」そう言って、俺はちょっと錆びた金の取ってに手をかけた。
ぎぃい…とそれこそホラー映画に出てきそうな、気味悪い音を立てながら、扉はあっけなく開いた。
しかし、その中の光景はホラー映画にはあるまじき光景で、俺たち二人は揃って息を呑んだ。