月影
とりあえず、と、玲子に促されて、深幸は一緒に近くの喫茶店に入った。

「すみません、コーヒーを。こたと、深幸ちゃんは、何にする?」

聞かれて深幸は、レモンティーで、と注文をし、小太郎も同じものを、と答えた。

「本当に、ごめんなさいね?話してるのに気づかなかったのよ」

苦笑いする玲子。深幸はいえ、と、ふるふると首を横に振った。

「私も、小太郎さんのこと、急に呼び止めてしまったので」

「気にしなくていい」

小太郎が言う。少し、気まずそうにしている深幸を見て、玲子は微笑んだ。

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