月影

結局、機嫌の悪くなった政宗は、家でご飯を食べると言い出したので、そのまま二人は家に戻った。
政宗にリクエストされたオムライスを深幸が作ってあげると、ようやく機嫌が治ったようで、ニコニコとご満悦の表情でぺろりと夕食を平らげていた。

深幸が食器や調理器具を片付けていると、政宗がコーヒー片手に傍へやってきた。

「オムライス、うまかった」

「ん」

政宗の言葉に、深幸は頷いた。

「コーヒー、お前も飲むか？」

持っていたカップを置き、食器棚から別のマグカップを取り出す。

「うん、お砂糖とミルク入れて」

食器を拭きながら、深幸が答えると、政宗は、わかってる、と笑って頷いた。

「明日はまた、予備校か？」

カチャカチャとコップの中のコーヒーをかき混ぜながら、政宗が聞いてきた。

「あー…うん。あるね、明日」

小さなため息をつく深幸に、政宗は苦笑いした。

「やっぱり、行かなきゃ良かったとか思ってんだろ」

図星を指されて、深幸は言葉に詰まった。