ヤンキー彼女とヤクザ彼氏
あたしは渋々車に乗った。




車を走らせて、ハルがため息をついた。





「まったく…気配でバレバレだ。」

「え…気配?」

「あぁ。」





お前はマンガの世界の住人か?




ハルって不思議の塊なんじゃねぇ?






「なんでそんな車嫌なんだよ?」

「…別にー…。」

「あっそ。」





車が嫌なんじゃない。





車で送り迎えとか、そういうお嬢様じみた扱いが嫌い。





自分のことは自分でやらなきゃいけない。





あたしはお嬢様なんて器じゃないから…。






「…。」





気づくと、ハルがバックミラーごしにあたしを見てた。






「な、なんだよ!?」

「別に。」

「あっそ。」

「…だけど、なんかあるなら若に言えば?あの人ならどんな話も聞いてくれる…。」





一瞬遠くを見たハル。





多分だけど…ハルも過去に辛いことがあったんだと思う。




聞いたりなんかしねぇけど。





でもきっと駿に助けてもらったんだろうな…。






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