危険なペット様との関係
なんでだか、あたしはその言葉を言うことが出来なくて
それからそのまま沈黙が続いた。
武ちゃんも時々、ため息をつくだけで何も話さない。
何なの、この沈黙……
何だかあたしまで喋りにくくなってしまう。
やっとのことで武ちゃんが口を開いた。
「あー…いや……うん。貸すよ、貸す。」
「ほんと?!」
「あぁ。放課後また来てくれ。」
なぁんだ。
結局貸してくれるんじゃん。
ホッと安堵の息をついて、教室を出て行こうとした時だった。
「…奈央。」
少し低めの声があたしを呼び止める。
「なに?」
武ちゃんのあたしを見る瞳が揺れる。
最近、よく武ちゃんはこういう瞳をするようになった。
何かを言いたげな……そんな瞳。
何も言いださない武ちゃんに、もう一度聞き返すと
何でもないと言いながら、首を横にふった。