hollow love



「あのなぁ」

俺は潤の頭に手を乗せた。

「世の中give&takeとか言うけど、
 全部が全部それでできてる訳じゃ
 ないんだよ。」

よく言うよ。

言ったあとにそう思って、

思わず苦笑する。

「..本当??」

「あぁ。多分」

「そう..なんだ」

潤はそう漏らすと、

しゃがんだまま俺の手を握り締めて

静かに泣いた。



「..さ、もう日が昇っちまうぞ。
 送ってやるから帰んな。」

潤の頭をゆっくりと撫でて、

細長い腕を引き、立たせる。

制服に付いた汚れを払ってやると、

潤はありがとう、と小さくつぶやいた。

「でも、帰るとこない」

「..は??」

「家、ないよ」

「いや、意味分かんねぇよ。
 お前高校生だろ??」

「うん。」

「学校は??」

「行ってるよ」

「どこから??」

「どこって..」

潤は小さくうつむいた。

「オトコの家」

「彼氏??」

「ううん。知らない人」

「..泊まり歩いてるってこと??」

「..うん」

「その、カラダを売って??」



「うん」



俺はまたため息をついた。



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