悪魔的ドクター
「今帰り?」


「…はい」



正直今は
先生の顔を見たくなかった。

話したくなかった。


『好き』という気持ちが
強くなるから…。



「咲桜ちゃん、大丈夫か?顔色が悪い」



暗い表情をしていたのか
先生は心配そうに見つめる。


また心配させてしまった…



「先生は心配しすぎですよ~!大丈夫ですからッ」



あたしの事なんかを
気にしたらダメ…


白石さんの事だけ考えて…



「それならいいんだが…」



そうだよ。

あたしの事は
何も考えないで…



「そうだ。1・2日ほど、留守にする」



え、珍しい…



「仕事ですか?」


「…いや、そういう訳ではない」



仕事以外…?

じゃあもしかして…



「白石さんですか?」


「え…」



さっきの今だから
考えた事は"ヨリを戻す"

イヤでもそう思ってしまう…。



「まぁ、柚花の事なんだがな…」



あ…ビンゴだった。



「いろいろ話す事があってな」


「…そうなんですね」



どんな話かなんてわからないはずなのに、"結婚"としか思い浮かばない。







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