オアシス
だいぶ溶けてしまった氷がアイスコーヒーと混ざり合い、見た目からして不味そうだったが一気に飲んだ。

“にがっ……”

はるかは正露丸でも飲んだあとのように顔をくちゃくちゃにして静止していた。



カチャ……



振り向くはるか。

「ただいま」

「おかえり」

ここの住人の一人、丸山聡が帰ってきた。

「準平は?」

「まだ、帰ってきてないよ」

「そっか」

「今日も、暑かったね」

「うん。でも俺のバイト先は、エアコンがガンガンの室内だから」

「いいね~。準平とは正反対」

はるかは、肉じゃがとお味噌汁を電子レンジにかけた。

「ガス使うと暑いから。レンジで失礼~」

「いいよ」



「ただいまー」

「あ、準平だ。おかえり」

「何かいい匂いするぞ」

「おまえ、ちょうどいいところに帰ってきたな」

聡の弟の丸山準平がTシャツを取り替え、裏返しに脱いだものを洗濯機の中へ放り投げた。

食事の準備が整い、三人はテーブルを囲んだ。
< 58 / 123 >

この作品をシェア

pagetop