オアシス
「美味いね。はるかは本当に料理が上手だなー」
兄の聡は嬉しそうに言い、缶ビールを開けた。
「料理が上手くても、誰もお嫁にもらってくれないんだよね」
意味深な発言に男二人は黙った。
「そんなことないと思うけど。なぁ、兄貴」
「うん。何なら準平がもらってやれよ」
「俺はまだ無理だよ。兄貴の方こそもらってやれよ」
“この二人、私のこと好きなんだな。私も好き……聡も準平も。でも絶対にそんなことは言わない。私一人の秘密”
二人のやり取りに、はるかはズルい目をした。優越感に浸っている。
「もうやめてよ、二人とも。くだらないこと言わないで」
頬を膨らませ、上目遣いに二人を交互に見た。
「またそんな顔する……」
聡はなぜか恥ずかしそうに言った。実は、はるかのこの顔が好きだったりする。はるかもそのことに気がついているから余計企む。
「だってぇ~」
茶碗と箸を持ったまま、頬を膨らませたまま上目遣いに二人を交互に見続けていると、