空を泳ぐさかな 【短編】
小さい頃、シャボン玉を吹くのが大好きだった。



赤いプラスチックの容器を握りしめて、緑色のストローでゆっくり息を吐き出す。


小さな泡の薄い膜は、虹の色がゆっくりと揺れていた。



ゆっくりと空に上がっていき、バチンと音を立てて消える。



空に揺らめく虹色の泡を眺めているのが大好きだった。




大人と呼ばれるようになった今でも、急にシャボン玉が吹きたくなる時がある。

そんな時、私は一人で公園に行く事にしている。


友達と仲良くシャボン玉遊び、なんていうのでは、心を満たせない。



―まあ、
高校生にもなって、シャボン玉を追いかけて、一緒に遊んでくれる子なんていないと思うけれど。



< 1 / 23 >

この作品をシェア

pagetop