空を泳ぐさかな 【短編】
夕方の薄い黄色い光の中で、ゆっくり浮き上がるシャボン玉は、紫色に見えた。
周りが静かになった分、バチン、バチンと割れる音が大きく聞こえる。



小さな泡があらかた割れるのを見届けて、左手に握ったプラスチック容器に目線を落とす。




あと一時間分。




ストローに息を吹き込む。


ほら、やっぱりため息だ。


お腹の中にたまっていたため息を吐き出すと、それは小さな泡に変わった。


色はやっぱり紫色。
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