スカイ・ライン
その頃の俺は、屋上というものに執拗な憧れを持っていた。
「高校に入ったら絶対に屋上に行く」という変な目標を掲げていたぐらいだ。
一刻も早く行ってみたかったので、始業式が終わった日に、さっそく職員室へ屋上の鍵を借りに行った。
しかし期待もむなしく、「生徒は屋上に立ち入り禁止だから」と、やけに脂ぎったヤツに追い返された。
それでも諦めきれなかった俺は、放課後になると毎日のように屋上へ通いつめた。
鍵の閉め忘れを期待していたのだ。
だがもちろん鍵は開いている日はなかった。
聞けば、毎年必ず数人サボリがてらに屋上へ侵入しようとする生徒が現れるらしい。
そういう生徒を絶対に屋上に入れないため、鍵の戸締りは特に厳重とされているという。