スカイ・ライン
 

その話を聞いた日の放課後。

俺は、どうせ開いてないだろうと半ば諦めモードで屋上に向かった。



やはり鍵は開いていなかった。

「鍵の戸締りは特に厳重とされている」んだから、当たり前だ。

なんか虚しくなった。



勝手に憧れて、期待して、叶わないと知った後も未練たらしく通い続けている。

これじゃあまるで弱々しい片想いだ。

女相手ならともかく、屋上相手にこんなことするなんて、最高にかっこ悪い。


「もう、やめよ」

そう肩を落として帰ろうとした時だった。

セミロングの髪をなびかせながら、ゆったりとした足取りでやってきた一人の女がいた。

それが奈緒だった。


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