いいから私の婿になれ
やがて朝食が終わる。

「ご馳走様、エリアル。美味しかったよ」

「お粗末様でございました」

食器を引くエリアルを見ながら、黎児は制服に着替える。

「それじゃあ俺は学校に行ってくるよ」

「はい、それでは…」

エリアルは食器をシンクに置く。

「参りましょうか、ご主人様」

「はい?」

いや、黎児も薄々嫌な予感はしていたのだ。

ただ認めたくなくて、気づかないふりをしていたに過ぎないのかもしれない。

彼女なら言いかねない。

ずっとそんな気はしていた。

「エリアル…?」

「どうなさったのですか?」

エリアルは清々しい朝に相応しい、爽やかな笑顔で言った。

「早く参りましょう。私もお供致します」

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