いいから私の婿になれ
だが…。

そうやってネットゲームにのめりこんでいても、黎児はどこか寂しげに見える。

パソコン画面の向こう側に存在するエリアル。

彼女はもう生身のメイドではない。

グラフィックの中の産物だし、もう現実世界にいた時のようにご主人様と呼びかけてきたり、可憐に微笑みかけてきたりはしてくれないのだ。

その事が少し悲しいようで、普段から無気力な黎児を更に魂の抜け殻のようにしていた。

< 99 / 101 >

この作品をシェア

pagetop