【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐
♪ やって来た、小さな嵐
その小さな嵐がやって来たのは、みんなは曲について話し合い、あたしが開店準備のお手伝いをしているときだった。
ガチャ…!
突然お店のドアが開いて、誰かが入ってきた。
お店はまだ開いてない。
だからこの時間帯にお客さんが来ることなんて、今までなかった。
原田さんを含めた、そこにいたみんなの視線が入り口に集中する。
あたしも、モップを持つ手を止めてその人物を見つめた。
ゆっくりと階段を降りてフロアに現れたのは、
チョコレート色の髪をふわふわと揺らす、超絶美少女だった…。
うっわ、めっちゃめちゃ可愛い…!!
あたしと同じくらいの年齢だろうか。
大きな瞳、長いまつげ、桜色の唇はきゅっと結ばれ、綺麗に整いすぎた顔には緊張の色が見えた。
陶器のように白くて、ニキビひとつない綺麗な肌。
すらりと長くて細い手足。
チョコレート色の髪は背中まで伸びていて、丁寧に巻かれ、女の子らしいカチューシャを付けていた。
可愛い、の一言で表現するには彼女は可愛すぎた。