【完】Lost voice‐ツタエタイ オモイ‐




「やーんっ予想以上に可愛いわ。これは期待できる」




はずしたい、けれどせっかく優輝ちゃんがやってくれたのをすぐに取ってしまうのも…。



どうするべきか悩んでいる隙に、優輝ちゃんにさっきの定位置へと戻される。




もう、恥ずかしい…!


さっきよりも恥ずかしさが倍増で、うまく呼び込みが出来ない。



どうして優輝ちゃんは、あたしにこんな格好させるの?




とりあえず看板を掲げ、顔をうまく隠す。



このまま終われ終われ終われ終われ終われ終われ……




念じるように何度も何度も頭のなかで呟いていた時だった。





「何この子、かっわいー」




え?




「や、やめてください…!」




目の前で、クラスの女の子が男子二人に絡まれていた。




あたしと同じメイド服を着た可愛い女の子で、二人に囲まれて身動き出来ないみたいだった。



「ねぇ、俺らと回ろう?絶対楽しいって!」



「そうそう!!せっかくの文化祭なんだし、ぱあーっとね!」



「ちょっ、結構ですからっ」




回りにはたくさんの人がいるのに、関わりたくないのかみんな見て見ぬふり。




確かあの子は、保科(ホシナ)さん。



話したことはないけれど、同じクラスだ。




どうしよう。


いや、誰も助けないんなら…!




看板を壁に立て掛け、つかつかと歩み寄る。




そして、男子二人を押し退けて保科さんの手を掴んで有無を言わさず引っ張り出す。




「おいっ、何すんだよっ!」




やっぱり突っかかって来られて、思わず引きそうになる。




こ、こわい…





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