わたしとあなたのありのまま
保健室のベッドに寝かされて、養護教諭の光代先生に、私の名前とか年齢を聞かれた。
ぼんやりした視界の中に光代先生、その隣に田所もいて、
もしかしたら、さっきのは夢じゃないのかな、と思ったり。
「こいつ、また笑った」
田所が腹立たしげにそう言い、光代先生が「はいはい、出るわよ」と宥めるように言って、田所をカーテンの外へと連れ出した。
昨日あまり寝ていないせいで、急に強烈な睡魔が襲ってきた。
けれども、カーテンの向こう側から聞こえる話し声が気になって、うつらうつらしながらそれを聞いていた。
「救急車呼ばねぇの?」
田所の声だ。
「意識はしっかりしてるからね。軽い脳震盪起こしただけよ。心配ないわ」
「本当に?
もしもあいつになんかあったら、あんたの責任だからな」
「本当に大丈夫。
あなたがここへ運んでいる間も彼女、意識あったそうじゃない。
それより、
頭部打撲は原則動かさないこと。
これ、基本よ」
光代先生に食ってかかって、逆に注意されてやんの。
ざまぁみろ。
そして、
ありがとね、田所。