わたしとあなたのありのまま
再び目を覚ますと、私はベッドの端っこにいた。
真ん中に戻ろうと、身体をズリズリ横へ滑らせると、布団の中に潜む謎の障害物にそれを阻止された。
まさかと思って布団をめくってみると、そこに、スヤスヤと眠る田所がいた。
大きな身体を丸めて横向きに転がっているコンパクトな田所は、子猫のように可愛かった。
無意識に私の右手が、田所の顔へと向かう。
でも不意に田所が目を開き、二つの漆黒の瞳が真っ直ぐ私に向けられた。
慌てて手を引っ込めるも、時既に遅し、
「触んなっつってんだろ」
寝起きだからか、掠れた声で、不機嫌そうに顔をしかめてボソボソ言った。
ムカつく。
「どうして私が怒られるの?
だいたい田所、ここで何してんのよ!?」
怒りに任せて責め立てると、全く動じることなく田所は、
「見りゃわかんだろ!?
体育さぼって寝てんだよ。
頼むから静かにしてくんない?」
言いながら寝返って、私に背中を向けた。