SUMMER TIME LOVE
「な…何すんのよっ!!」
ドスッ!!
鈍い音と共にその男はスルッと腕を放し、あたしの体は解放された。
「ってぇ…」
あたしの肘鉄をくらった男をチラッと振り返ると、その男はお腹を押さえながらうずくまっていた。
「おまっ…マジかよ…」
何がマジなのかわからないけど、逃げるのにはマジだ!!
一撃喰らわしたとはいえ相手は男。
この隙に逃げなきゃ何されるかわからない。
とにかくあたしは走った。
ナナのリードを握りしめ、家までの道のりを振り返ることなく。