小指心
ていうかマジ様乃って何人・・・?

「いや、ピュアな日本人だけど」

「(心読まれたっ?!!)」

「いとこが韓国語しゃべれて意外とイケメンだから韓国に行ったときスカウトされたんだって」

「すげーっ!!!」

「いや、でも本当に通りすがりの人役だったって」

「ええ・・・?」

いや、でもそれだけでも十分凄いって。
様乃って一体なにものだよ。

「つか、今のシナリオって即興なんだよ!凄くないっ!?」

「ん~・・・凄いっちゃ凄いけど(ある意味)微妙」

「あー、だよねー。私も最後に涙を流すか流さないかで迷ったもん」

「いや、考えるところそこじゃないから」

―――――――――――

「・・・っ」

蓮と梓との光景がいまだに頭から離れない。

「・・・くそっ!」

俺は、別に梓を放したわけじゃない。
確かにもう彼氏でもなんでもねーけど、だけどっ!

「・・・」

今の俺には・・・ただ、ただ見ているだけしか出来ないのかっ?

「こんなの・・・」





君にとてつもなく、会いたいんだ。





「・・・」

俺の出る幕はないってことかよ。

全部、俺の全部蓮に取られて。
それを俺は取り戻せなくて、こんな屈辱。


「・・・くそっ」


心から、好きなんだ。

梓を。

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