幸せの寄り道



「じゃあ、俺そろそろ帰るわ。」


「うん、今日はありがとね。」


「おう。」


それから聡太君を玄関まで送り部屋へ戻った



さっきまで聡太君にじゃれていたクロは少し寂しそうに丸くなって寝ていた




「それにしても…。この服どこにおさめればいいんだろか。」



私は山積みになったお店の袋を見て少し息を吐いた



こんなに買ってもらうっておばあちゃんぐらいだったのに…



そう思いおばあちゃんに電話した



「もしもし?」


「あ、おばあちゃん?私今日ね、早苗さんとお買いもの行ってねたくさん服とか買ってもらったんだ。」


「そうかい。仲良くできてるんだねぇ~。」


「うん。おばあちゃんが調べてくれて話すことができたからだよ。ありがとう。」


「陽向ちゃんの役に立ててよかったよ。」


「後ね、聡太君も優しくってね、なんか先生に似ててね…。」


「陽向ちゃん、先生に会いたいのかい?」


「会いたい…。早く、会いたいよ…。」


私の頬には涙が伝っていた





こんなにも先生に会いたいと思っていたなんて


誰かの仕草と先生を重ねていたなんて


どこかで先生を探している自分がいたなんて


まったく気付かなかった…。





早く会いたいよ。





「また、こっちおいで?」



電話越しにおばあちゃんの優しい声がした




まるで今の私を包み込んでくれるような声だった






「ありがとう、おばあちゃん。」








~陽向・終~


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