サンタクロース




「お疲れ様です。さぁ、これが報酬です。また、何かあったら頼みますと、皆さんにお伝えください」

「…あぁ。」

「そうそう、その子。親戚が妹に酷い事をしていると…勘違いをしていたみたいですね」

「え…?」





死神は小さなカードを僕に渡して、すぐそこに転がっている少女の魂を袋へと詰めながら言った。
勘違い…。もしそうならただの思いすごしでこの少女は3人の人を殺したのかと思うとものすごく間抜けだと思う。



「勘違い…って?」

「そのままの意味ですよ。思い込み、と言うものは怖いですね…では、私はこれで」




たった一つの思い込みで少女は人を殺し、守ったつもりが家庭を潰しただけで他人から言わせれば悪の根源以外の何者でもなかったらしい。もし少女がもう少し大人なら考えて行動が出来ただろうに、不幸なことに真っ直ぐな子供だったから思い立って行動したんだろう。そんな事を思いながら魂を抜かれた少女の身体をぼんやりと眺めているとやるせなさでため息が漏れた。
外では盛大に教会の鐘が鳴っている。新しい年が来たのだと、街の人間が賑わう中、何故か幸せそうな笑みを浮かべる少女の死体はどこか悲しい物にしか感じない。
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