サンタクロース



「よかった…自分で、死のうって思っても、死ねなかったんだ…助かるよ、サンタさん」

「…そう」




トリガーを引く。
ガチリ、と言う機械的な音が部屋に響く。




「これで、妹の所に行けるよね」

「多分…」




微笑む少女に銃を向けて引き金を引く。
大きな騒音とともに、少女はその場にパタリと倒れて動かない。まるで忘れられた人形のように、不自然な格好をしている。



「多分…行けないと思うよ、あんたは地獄だ。妹の居る天国じゃない」


「人を殺したんだ、そうだろうね」







いつの間にか背後に立っていた男は僕の顔を見て微笑む。

< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop