サンタクロース



「…何なの、あんた…」

「サンタ、だよ。あんたに銃を渡した奴の知り合い」

「あぁ…返せって?良いわよ、返す、もう要らないし」

「それはあんたにやったプレゼント、だ。取り返しになんか来ないよ」

「じゃあ何?25日ならとっくに過ぎてるじゃない」



そう、サンタは本来、一年の一日だけを仕事として下界に降りる。
だがそれは“赤いサンタ”の場合だ。僕は規定通り紅い服を着て入るが、仕事としては“黒いサンタ”としてきている。25日なんて関係がない。



「僕はまだ、サンタじゃない。」

「え?じゃあ何よ、その赤い服」

「サンタの試験中なんだよ。テストに合格すればなれる」

「ふぅん?」

「あんたを殺せたら、合格なんだ」




なんで、こうも丁寧に教えたんだろうかと今になって思った。
教えてしまえば逃げられやすい、抵抗されてしまえば、面倒な事になる。けど、足元で小さくなっていた少女は逃げる事もしないで向けられた銀色の銃を見て笑っている。
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