孤高の天使
「生きていれば必ずどちらかが先に死ぬ。なら俺は君より先に死にたい」
「ッ………」
ラファエルの言葉にギュッと胸が痛む。
そんな優しい笑みを浮かべてそんなこと言わないで。
聞いているこちらが悲しくなる…
「君の死など見たくない……だから、君が俺を殺してくれるというなら喜んで受け入れるよ」
柔らかな笑みを浮かべるラファエルに震える声で告げる。
「わたし…できない……」
ポツリと口から零れたのは紛れもなく自分の気持ちだった。
聖剣で悪魔を滅する以前に、剣で傷つける行為など出来ない。
それに………
聖剣を自分の胸に突き立てるラファエル様を前にして思った。
私はラファエル様を傷つけることは出来ないと。
滴る血が目に入った時、身体の底から震えが起こり、どうしようもない恐怖に襲われた。
あと数ミリでも聖剣が胸に突き刺されば、ラファエル様が消えてしまうのではないかと言う恐怖に。
それを頭の端で考えた時、恐怖と混乱とでボロボロ流れ落ちた涙が行く当てのない想いを吐きだしたのだ。
その涙がラファエルを止めたのたが、あのまま聖剣がラファエルの胸を貫いていたかと思うと身も凍る思いだった。
ピタッ……――――
ラファエルの胸に手をあてる。
「ごめんなさい……」
少しと言えど血が流れるのを見ると思わず眉が歪む。