孤高の天使
そして、また瞳に涙が浮かぶ。
自分がこのような事態を招いたくせに…
今ここで私がなくのはズルい。
堰を切って流れ続ける涙を零しながらラファエルの胸の血を拭っていると…
「君は俺を傷つけることは出来なかったと分かっていた」
弾かれたように頭を上げれば、眉を寄せて笑うラファエル。
やっぱり……
ラファエル様は私を試したんだ。
どこまで私が本気なのか。
自分がどこまで受け入れられているか。
結果、私はラファエル様を滅することは出来なかった。
例え魔王と言えど、私たちと同じように流れる赤い血を見たくはなかったから…
「分かっていたなら何でこんなこと…」
自分を傷つける様な真似をして。
一歩間違えれば自分が滅せられるかもしれなかったのに。
それでも、ラファエルは私の瞳をまっすぐと見据えて答える。
「信じていたからだ」
瞬きをして零れ落ちた涙をそっと拭うラファエル。