孤高の天使
ラファエルがこんなにも怒りを露わにしているのは初めて目の当たりにしたかもしれない。
今まで怒ったことはあれど、こんな風に手を出したことはなかった。
それ程に今のラファエルは狂気に満ちた怒りを露わにしていた。
『言わぬならこのまま殺す』
一秒、また一秒経つごとに天使の首にあてている指が食い込む。
『言う…言うから離せっ…』
本当に殺されると思ったのだろうか、天使は慌てた様子でラファエルの腕を叩く。
ラファエルは憎らしげに眉を歪めるが、天使の首を掴む手を少し緩めた。
『ゴホッ…ハァハァ…』
ラファエルの力が緩んだ瞬間、天使は盛大に息を吐き、酸素を求めて空気を吸い込んだ。
しかし、ラファエルはその猶予さえ与えず『言え』と促す。
逃げることもかなわない天使は少し躊躇うそぶりを見せた後、僅かに口を開く。
『……みだ…』
『はっきり言え』
言葉にならない言葉を口にした天使にすかさずラファエルが口を出す。
ダンッと再び幹に打ち付けられた天使は慌てて口を開いた。
『俺たちにお前を殺すよう命令をしたのは神だ』
『なん…だと……』
上擦ったような声で告げられた事実にラファエルは目を見開いて驚愕する。
信じられないという様な反応を見せるラファエルに天使は追い打ちをかけるように話す。
『神はご自身の力の衰えを恐れておいでだった…と言えば分かるだろう』
『まさか…』
ラファエルはゴクリと息を飲みこんだ。