孤高の天使
『動くな。それ以上動けば命はないと思え』
音ひとつ立ててはいないというのに、ラファエルは天使たちの方を見もしないで口を開いた。
地を這うようなラファエルの声が天使たちの足を止める。
『お前たち誰に命じられた』
『お前に答える必要はない』
ゴクリと生唾を飲んだ天使は一瞬動揺するも、毅然とした態度でそう言った。
瞬間、ラファエルは六枚羽を広げその天使めがけて目にも留まらぬ早さで跳躍した。
ガンッ――――
木の幹に天使の体が打ちつけられる。
打ち付けられた拍子に落ちてきた木の葉がその衝撃の大きさを物語っていた。
『カハッ…』
ラファエルの手が天使の首を掴み、指が天使の喉元に食い込む。
ラファエルの姿をただ見送るしかできなかった周りの天使たちが振り返り一斉にラファエルに飛びかかる。
しかし、ラファエルは何の躊躇もなく天使たちを大剣でなぎ払った。
天使たちの胸にラファエルの大剣が滑り、赤い血潮が飛翔する。
聖剣は天使にとって致命傷にはならないまでも、剣として対象を傷つける役割は十分に果たしている。
『誰に命じられたと聞いている』
同様の問いかけを投げたラファエル。
戻りかかっていた瞳の色は再び紅く染まっていた。