孤高の天使
けれどそれは自惚れだったみたい…
愛する人が苦しんでいる姿を見て何もできないなんて惨めで悲しいことなのだろうか…
悲しみに暮れている間にもピッ…ピッ…と剣で薄皮を切られたような傷跡が腕や足にできる。
ラファエル様がこのまま消えてしまうのなら、私も一緒にこの闇に飲まれよう。
今度は最後までラファエル様といたいから…
もう誰にも何にも二人の存在を分かたれたくないから。
でも……
できるならもう一度ラファエル様の瞳に写りたかった。
あの綺麗なアメジストの瞳に。
最後だと思うとこれまでのラファエルとの思い出が走馬灯のように駆け巡る。
ラファエルと過ごした日々は短かったけれど、かけがえのないものだった。
ラファエル様は私に出逢ったなり「愛している」告げて涙を流した。
時に優しい嘘で私を守ってくれ、時に私を突き放したこともあった。
けれどあれがなければ私はラファエル様への気持ちに気づくことはなかった。
否、惹かれていたことに気づきたくなかったのかもしれない。
あのときの私はどこか見えない力が働いているようにラファエル様にに惹かれ、けれど心臓を鷲掴みにされるほど惹かれる理由が分からなかったから。
でも今なら分かる――――
私がラファエル様を好きになり、愛するようになったのは必然だったのだと。
ラファエル様がくれた「愛している」の言葉の数だけ、私も自分の気持ちを伝えたかった。
まだ「ごめんなさい」も言ってないの…
だからどうかもう一度チャンスをください。