孤高の天使
痛い……けどラファエルがおった心の痛みを思えば平気。
むしろ私はこれまで守られすぎていた。
こんな傷がいくつつこうとも私はこの腕を放さない。
今度は私がラファエル様を守るのだから。
けれどラファエルは心を深く閉ざしている。
ピクリとも動かないのは意識の奥底まで潜り込み、無意識に外部を遮断しているからだろう。
意識のない者を呼び覚ます方法はただ一つ。
「ラファエル様…もう大丈夫」
耳元で優しく囁き、幼子にするように頭を撫でた。
「私はここにいます」
何の能力を持っているわけでもない私は呼びかけることしかできない。
「ここにいるから…だから…どうか戻ってきて」
懇願するような私の声が辺りに響き、シンと静かになる。
やはりラファエルの反応は返ってこなかった。
涙が溢れそうだった――――
私の声ならきっと届くと思っていた。
閉ざした心も開けると思っていた。