孤高の天使
「神は………た」
「え?」
珍しく歯切れの悪いラファエルの言葉に声を上げる。
するとラファエルは眉を寄せて真剣な表情で私を見据える。
「神は君に何を見せた」
「私の最期です」
真摯なアメジストの瞳に圧倒される形で口にした言葉にラファエルはショックを受けたように目を見開き、唇をかみしめた。
グッと近づいていた距離は離れ、しっかりと見据えていた目は逸らされる。
「ラファエル様?」
明らかに様子のおかしいラファエルにそっと呼びかける。
ラファエルは私の声に反応して更に眉を寄せた。
まるで何かを恐れている様な、怯えている様にも見えた。
先を促すような私の呼びかけにラファエルは強く目を閉じ、フッと力を抜くとともに目を開いた。
「俺は…君に触れる資格はない」
力なく口にしたのは哀愁を湛えた言葉だった。
そしてラファエルは静かに語り始める。
「君の最期の時、俺は見ているだけしかできなかった。俺は愛していると言いながら、たった一人の大切な人も守ることができなかった男だ。君が消えたことを受け入れられず、多くの命を奪って堕天した悪魔だ」
自分を責めるようなラファエルの心の吐露は聞いているこちらの胸が締め付けられるほど切なかった。
「天使でも悪魔でも人間でも、君にまた会えるのなら何だっていい…数百年もの間、毎日そんな淡い願いにすがっていた。だから生まれ変わってまた俺の前に現れてくれた時、今度こそ守ると自分に誓った。誰にも触れさせず、誰にも傷つけさせないと」
ラファエルはそこで話を一度切り、フッと自嘲的に笑った。