孤高の天使
「こんなにも早くばててしまっては魔王の名が泣きますよ」
アザエルはラファエルの肩に足をかけ、地面にねじ伏せるように押さえつけた。
「ック……」
「私は貴方の力を見誤っていたのでしょうか。この数百年という時間は貴方の闇を育てるには良い期間でしたが、魔力はおろか腕まで鈍らせていたとは嘆かわしい」
小さく洩らしたラファエルの苦悶の声に満足げな笑みを見せて剣をラファエルにつきつけるアザエル。
「このまま貴方を私の手で滅したいのはやまやまですが、ここまでとしておきましょう。貴方を滅してしまっては本末転倒ですからね」
「イヴには手を出すな!」
反射的に起き上がろうとするラファエルの体に宛がわれていた剣が食い込む。
「動かない方が身のためですよ。イヴの命は私の手の内なのですから」
アザエルのその言葉がまるで見えない呪縛の様にラファエルの体を縛る。
持ち上げた体も再び地面に叩き付けられ、睨むような視線を向けるラファエルを愉しそうに見下ろすアザエル。
凄まじい憎悪を秘めたアメジストの瞳が揺れ、紅の色が僅かに滲む。