孤高の天使
神殿へ着くと、もう皆は集まっていた。
光の球体があった場所に神が座る椅子が置かれ、長い背に体を預けた神が座っている。
私の聖力をあげた時に神は元の姿に戻り、背丈や顔立ちも大人び、椅子に座る姿でさえ神々しい。
「久しぶりですね、イヴ。変わりはありませんか?」
毎朝の礼拝にかわってラファエルの元に行くことが多くなった私は、自然と神殿から遠ざかり、こうして皆と顔を合わせるのは久しぶりのことだった。
「はい、いつもと変わりなく過ごしています」
「そうですか」
神は少し声を落としてそう言ったが、いつもの柔らかい表情で微笑み、それ以上何も言わなかった。
10年も経てば、久しぶりに交される言葉といえど、その一言だけで事足りる。
いつもと変わりがないということが何を指しているのかは神にも伝わったはずだ。
「貴方も審判に同席しますか?」
「そのために来ました。もう大丈夫ですから」
言葉の端に隠された神の気遣いに感謝しながら応える。
「ではここに。ルーカスはガブリエルの隣にどうぞ」
神に促されるままに、ルーカスはガブリエルの横、私はウリエルの横の椅子に座った。
アザエルと顔を合わせるのは10年ぶりだ。
ラファエルが永い眠りについた後、私は暫く聖なる母樹から離れられなかった。
今日の審判が開かれるまで、何度か顔を合わせる機会があったが、その時の私にはアザエルと顔を合わせる勇気がなかった。
けれど今日でちょうど10年、心の準備をする時間はたっぷりあった。
大丈夫…私はもうどんな言葉を浴びせられても動揺することはない。