孤高の天使



「そう…ですよね。変なことを聞いてごめんなさい。」


目を伏せて力なく笑う。




何でわたしがっかりしてるんだろう……




ラファエルが悪魔だと再認識して何故か胸がもやもやした。





ラファエル様が天使だったら天界へ帰してくれると思ったから?

悪魔と分かって天界へ帰る希望がまた薄くなったからがっかりしたの?



ううん……そうじゃない…


私が心のどこかで望んでいたの。

ラファエル様が天使なら…って。

真っ黒な羽と髪は悪魔そのものだけど、その内は温かい。

少し強引だけど、私のことを考えてくれているし。

こうして魔界の外気に触れた私の身体を労わってくれる。

最初は悪魔であるラファエルが天使である私を気に掛けることが不思議だった。



けれど今は……―――――



「イヴ」


不意に名前を呼ばれ、現実に引き戻される。

焦点の定まった先に心配そうなアメジストの瞳。




「今日は疲れただろう。」


急に黙り込んだ私にそう言ったラファエル。

その問いに「いいえ」と言いながら首を横に振る。



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