有明先生と瑞穂さん
ザワザワザワザワ・・・

「花瓶が落ちたのは事故じゃないの?」

「いいえ、口之津先生が落とした誰かの手を見ています。
それにあの場所には花瓶なんて置いてありませんでした」

「でもその噂と今回の事件、何の関係が?」

「どうやら瑞穂さんは今回の噂が広まったせいでおもしろおかしくからかう生徒達などからいい標的にされていたようで・・・もしかしたら今回も悪ふざけの過ぎた生徒のせいなのではないかと・・・」

「悪ふざけでこんなことが?!」

「今の子達は大人が想像できないことをやらかしますからね・・・。
ニュースでもそういった事件がいつも取り上げられてる。
うちの学校だって例外ではない」

ザワザワザワザワ・・・






(瑞穂さん・・・・・・)


ザワザワと落ち着かない職員室で一人、有明は頭を抱える。


瑞穂は怪我はなかったが保健室へ運ばれたらしい。

できればすぐにでも駆けつけたいが、ここまで噂が流れてしまっては派手に動くことができなくなってしまった。


――不甲斐ない。


また瑞穂を助けたのは口之津だ。

何もできない自分が悔しい――。




「有明先生、きっとすぐにお二人のことも皆に――」

「わかってます」


心配そうに言う小浜の言葉を制する。

きっと上から二人の関係について聞かれるだろう。

噂も、写メールもきっと全部出回っている。






とうとう瑞穂は午後の授業には参加せず、保健室で放課後まで過ごした。

口之津が犯人探しに躍起になっているが、きっと出てこないだろう。
それに証拠だってない。
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