有明先生と瑞穂さん
―――ヤバイ・・・・・・!



顔を両手でガードする。

その時だ――・・・



「何やってんだ!!!」


ガンッッ!!


「きゃあっ!」


ガシャーーーン!!



視界が明るくなったと思うと、目を開けた瞬間目の前の女の体が吹っ飛んだ。

棚にぶつかり大きな音が響く。


(――――え・・・?!)


衝撃から、女子生徒が手に持っていた『光るモノ』が離れ瑞穂のそばに落ちる。

それはただの透明の定規だった。



「晴!!大丈夫か?!」

「くっ、口之津せんせぇっ!!」


女子生徒が吹っ飛んだ先を見ると、棚のガラスが割れて散らばっている。



「晴が一人になるのを見計らって出てくると思ったよ!
張り込んでて正解だったな」

「うっ・・・うぐっ・・・」


ガラスの中に倒れる女を見下ろし口之津は吐き捨てるようにそう言った。


「え・・・先生見張っててくれたんですか・・・?」

「ああ。花瓶落とすなんて衝動的なことやらかすならすぐに次の手に出てくると思ってたんだ」


「どうしたんですか?!」


「!!」




もう一人、音を聞きつけて保健室に飛び込んできた姿を見て瑞穂は全身の力が抜けたような感覚に襲われる。



「あっ・・・有明先生・・・・・・!」



堪える間もなく瑞穂の目から涙が溢れた。

体の中心から指先まで、全身ふにゃふにゃと力が抜ける。

緊張が解ける――。



(―――有明先生・・・!!)





現場を見た有明は愕然とした。


散らばるガラス。
女子生徒。
怒る口之津。

泣く瑞穂――。





「ど・・・どうして有明先生がここに・・・」

有明の姿を確認した女子生徒は一気に青ざめ振るえだす。


口之津は構わずに瑞穂のそばに落ちた定規を拾い上げ、その生徒に突きつけた。


「こんなモンでも振り上げればそのガラス片と変わらねーくらい人に怪我させることできんだよ!!
軽い気持ちで人に向けんじゃねえ!」


口之津の言葉に有明は現状を把握した。
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