有明先生と瑞穂さん
「どうしたんですか?!」


間もなくバタバタと保健医や周囲にいた教師達が騒ぎを聞き駆けつけ、その現場を目撃し騒然とする。


「な、何があったんですかコレはっ?!」


散らばるガラス片

血を流しながらガラスを持った生徒

それを抑える口之津

泣きじゃくる瑞穂

そんな瑞穂を抱きしめ、血を流す有明――



瑞穂をなだめながら有明は「ああ、しまった」と冷静に考える。


予想外の騒ぎになってしまった――。




授業終了のチャイムが鳴り、一人、また一人と野次馬が増える。



噂が広まっている中、こんなところを周りに見せてはいけないと思いながらも泣いて震える瑞穂を抱きしめる手を緩めることはできなかった。











野次馬を追い払い、ガラスを片付け、閉め切った保健室では有明が怪我の治療を受け、それを瑞穂と口之津が後方で見守った。


「幸いたいした怪我じゃなくてよかったです」

「口之津先生のおかげです」

「口之津先生と瑞穂さんは怪我はありませんでしたか?」

「俺はヘーキっす」

「・・・私も大丈夫です」


目を腫らして俯く瑞穂は元気がない。
口之津がポンと優しく頭に手をやった。


女子生徒は別室にて治療を受け、待機している。
こちらも怪我は深くはなかったようだが、心配なのは精神面だ。


「あの子、3年生の子ですよね。
大人しい子でこんなことするような子じゃなかったのに・・・」

「大人しいヤツほどキレたら怖いって言うじゃないっスか」



口之津も騒ぎで少し腕を痛めたのかプラプラと振ってみせた。


「でもどうして瑞穂さんを・・・?
アナタ達、接点があったの?」


「・・・・・・」


瑞穂は答えない。

こちらも精神はボロボロだ。



沈黙する空間の中、勢いよくドアを開ける音がして
「失礼するよ」
と一人の教師が入ってきた。


「教頭先生」


立ち上がろうとする有明を制し、一度全員の顔を見渡すと眉間にシワを寄せてため息を吐いた。
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