有明先生と瑞穂さん
女子生徒はもう、今の現状にパニックを起こしていた。


はじめは、噂を事実だと実感したところから――

瑞穂を憎み、次第に攻撃するようになり、一番見られたくない醜態を有明に晒し、一番最悪な状況で人生最大の注目を浴びてしまった。


パニックの中、自己防衛だけが働いて、有明のことまで考えられなくなっていたのだ。


その様子を見て小浜がクスリと笑った。


「―――?!」


瑞穂だけがその意味深な笑みに気づいた。


(小浜先生・・・?)



「その話は本当ですか?」

教頭が立ち上がり有明と瑞穂に問う。

隣の校長も驚いた顔をしていた。


小浜には校長にも話したことになっていたな・・・と有明は一瞬悩んだが、もうここまでの騒ぎになってしまえば関係のない話だ。




「はい。同じマンションです。
しかし後ろめたいことなどは一切ありません」


ザワつく教師や廊下の生徒達――。
時折「ええっ?!」と大きな声まで聞こえる。



「ど、どうして今まで隠していたのかね?!」


教頭は驚き汗を噴出しながら息荒く問いかけた。


「隠していたわけでは・・・いいえ、やはり隠していたのかもしれませんね。

ただ同じマンションというだけでこういった噂などを持たれたくなくて黙っていました」

「しかしだねぇ・・・!」


教頭が言葉を渋るが、代弁するかのように廊下の生徒達は騒ぐ。


「余計怪しくな~い?問題があるから隠してるんじゃないの?」
「ありえる~。せめて校長とか教頭あたりは知っとくべきっしょ?」


一度収まりかけた疑惑はまた倍になって膨れあがり、今まで噂を馬鹿にしていた教師までもが「もしかして・・・」と疑い出した。


「ほ、本当に私達は何もないんです!」


とっさに瑞穂が声をあげたが、余計にその反応が怪しいと生徒達が騒ぐ。
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