有明先生と瑞穂さん
まだ日差しが暑い9月。
有明がジャージのズボンををスネまで上げるとそれだけでまた女子が喜んだ。


「先生もハーフパンツ履く?生徒とお揃い」

「そんな恥ずかしい格好できないよ」

「恥ずかしいって男子皆着てるんだけど?!」


有明と布津がそんなやり取りをしていると、『ピッ!』という笛とともに他の生徒が走り出した。

―――瑞穂だ。


瑞穂は一緒に走る陸上部まで追い越しゴールする。

選手に決まってしまって手を抜く理由がない瑞穂は何かがふっきれたように軽やかに走りぬいた。


「・・・・・・・・・早いね」

「あいつ昔から結構何でもできたからな。
運動部に入ってればもっと早かったんじゃねーの?」

「そう・・・」





ゴールし終わり、息を切らした瑞穂はあたりを見回した。



深江はまだ他の生徒と有明先生を囲っている。
有馬はまた派手に口之津先生と戦っている。



(ちょ・・・さ、寂しいんだけど)

瑞穂は一人むなしく息を切らした。
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