剣舞
水宮の都は、周辺の木造や土壁の建築物と違って、白亜の大理石や黒の御影石などを美しく研磨した材質で建立されている。

丘陵地帯から、なだらかな斜面を水路が張り巡らされており、太陽の光が水面に反射して、キラキラひかっており、まるで太陽の国の様だ。

水が豊かであるからこそ、樹木が活きずき、人工建造物に調和している。

そんな界隈を見渡しながら、小路の石段を昇り、丘のいただきを目指せば、そこからは、大海原がみえる。

遠くの深い青と、岸壁から続く近くの砂浜に至る淡い緑青の色。

何もかもが、厳しい自然環境に在るヴォルハムンとは異なっていた。

活気ある商店が立ち並ぶ町並みを抜けて、彼女は、海岸沿いに続く、岩盤の上に聳える城壁へと足を運ぶ。

険しい岩盤と空の青
隔てるような、白亜の防壁

オリビアは、その防壁に腰掛け、眼下を見下ろし、あまりの海の美しさに、ため息をもらした。

「普段も、ずいぶん活発なんだな。オリビア。」

背後から、声をかけられ、彼女は小さく肩を震わせた。

海からの風が、無造作に下ろした髪をふわりと撫でた。

 
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