剣舞
先刻、オリビアにさわりを聞かせた内容の台詞と共に。

表情一つ変えず、殺生かつ無責任な発言を行った、大人に成り切れぬ少女に、平手打ちをくらわし、その怒りを露にした。

「我が重臣にそのような無駄戦をさせるものか!
どうしても行うというなら、アンジェラ!そなた自身が剣をとれ!!
人命を軽々しく扱うものなど、政治に関わる価値もない!」

泣いて執務室を飛び出すアンジェラに、要約彼は、平素の自分を取り戻した。


「ディック、すまない。アンジェラの失言を許してくれないか。」

「初めて、貴方の剣幕を見ましたよ。私の事は、気に召されぬ様に。」

ディックが苦笑し、忠告を続けた。

「覇王、姫君を、ここで解放されぬ方が、よかったかもしれませんよ。
今のあの方なら、貴殿が直接剣を交えるよう、進言されるやもしれません。」

それについては、自分も同じ様に懸念していた。


そして


悪いことに、そのとおりの運びとなってしまったのである。



ただ一つ、ひっかかりが消えない。

アンジェラの事だ。


 
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