剣舞
砂漠へ遣いにやっていたディックが、ヴォルハムンから予定より早くもどってきた。

アンジェラと、自分を目の前に、自分の片腕は、ジルより持ち帰った返答内容を告げる。

「条件つきで、オリビア嬢が、自ら引き受けるとおっしゃりました。」

ディックが、言葉を切る。

彼は、その条件をたずねる。

「剣舞の相手は、宮廷内から出すように、との事です。」

その返事をうけ、ヴァイスは、アンジェラの敗北を確信した。

「当然の要望だと思うが?アンジェラ。
禁ぜられる理由のある舞を奉納するがために、犠牲者を一方的に出す民などいるわけないだろう?」

後日談で、ディックより、オリビア自信の判断と聞いたときには、その判断力に感心したものだが、そこまでに平静を取り戻すのに、幾分時間を要した。


「では、舞っていただきましょう。
お相手は、分の悪い条件をそのまま受けて戻られた、モンロー伯爵がなさればよろしいかと存じますが。」 

その台詞に、今まで我慢していた何かが飛び、ヴァイスは激怒した。


 
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