剣舞
それは、イザベルを慰めるべき言葉であった。

「考えてもみよ。ヴォルハムンの民として育てられた娘だぞ?剣の心得なんざ、あるわけなかろう?しかも、ここは、火宮と縁もゆかりも薄い水宮だ。誰も、旅の舞子になど肩入れせんさ・・・王子以外はな。」

潮位があがってきている。
彼等が、宮廷に居る人物だということは、確認できた事だし、退散する事が、得策と考える。

彼は、執務室へ、道を辿り始めた。

まだ、なにも知らないオマリーの声が届きつづける。

「万が一ということもあるゆえ、明日は、私もアンジェラ姫から、お招きをあずかっている。うまくいかねば、いくらでも打つ手はあるさ。」と。


執務室に戻った覇者は、成すべきことを、淡々と執り行っていく。

瞳は、厳しくも、正義を制していくものに相応しい威厳に満ちていた。






 
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