6 L O V E .




あっという間に卒業式はやってきて、俺は大学生になった。



「ねえねえ、椎葉くん。ごはん行こうよ」



オリエンテーションを終えて教室から出ようとすると、金髪巻き髪の女が声をかけてきた。

あいつに比べたら、相当大人っぽいと思う。



「わりい。行くところあるから」




入学して早1ヶ月。

俺には、ずっと欠かさず毎日行く場所がある。



大学の最寄り駅から電車で2駅。



卒業ライブをしたのが、かなり前のことに感じる。


それだけ俺が頻繁に、ここに来てるってことだろう。





「また来てるよ!あの人!」


「あの人、ほんとにかっこいいよね」


「いつも誰待ってんのかなー」




北高の女子生徒の噂話も聞き慣れた。



今日こそ、彼女に会いたい。


俺はここ、北高で梢をずっと待っていた。



うまいこといつもタイミングを見計らったかのように、会えない。






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